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「山群逍遥」(2)

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 今日、最初の一期一会が待っていると、彼が山頂を後にする前に辿り着きたいと息を切らせながら足を速める。

「山群逍遥」(2)_f0201348_9415528.jpg お互いに似通った年齢に違和感は無く、どちらからともなく山談義から私事へと語りが敷衍して行く。
熊本市にお住まい彼は、「新幹線通勤で福岡の方に通っていたが、残り2年を残して退職し、今では夫婦で山登りを楽しんでいます」と、家庭菜園で採れたらしいキューリを頬張りながら嬉しそうに語る。
お互いに九重山群での思い出のルートに、癒しの花や苦労談を交えながら半時間程の山頂を楽しむ。
「稲星山から白口岳へ行って沢水の方に下り、車を置いている南登山口へ周回する」と言う彼を置いて、一足先に鳴子山へと下って行く。

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 本山登山道との分岐点から、岩のピークをスラロームするようにアップダウンを繰り返して山頂へと向かう。
最後のピークを越え下りきる直前で二人組の男性が白い花にカメラを向けている。予想もしなかったオオヤマレンゲである。

「山群逍遥」(2)_f0201348_9503953.jpg猟師山で心行くまで愛でた天女のような花である。直ぐに「オオヤマレンゲですね!」と話し掛けると、「最後の一輪ですかね!」と嬉々とした言葉が返って来る。
彼らが去った後、登山客の為に最後の一輪を残していてくれた一木に感謝をしながらカメラを設定する。空を背景とした可憐な花にEV+2/3、焦点距離を小さく設定してピントを合わせる。
目標も無く入った山群であるが、思わぬ山のプレゼントに99%の達成感を抱かせる天女であった。





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 昨年“本山コース”から登った時、宮崎県小林市の御婦人から頂いた上品な甘いお菓子を脳裏に、四方を展望し山頂を後にする。直下の灌木から稲星山で出会った細身長躯の彼が現れる。

「山群逍遥」(2)_f0201348_956952.jpg白口岳へと直接行かず寄り道した彼に「オオヤマレンゲを撮りましたか」と聞くと「否」の返事。
残っている場所を教えると、一眼レフを抱えた彼は「えー!そうなんですか」と、思いの丈を笑顔に込めて「有難うございます」と、頭を下げ小走りするように山頂へ向かった。


 分岐点から遥か遠くに中岳へと向かう男性を見る。服装から判断すると鳴子山の途次に挨拶を交わした彼である。白口岳へ一歩踏み出した所であったが、彼に釣られるように白口岳を断念して中岳へと向かう。
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「山群逍遥」(2)_f0201348_9573853.jpg 急峻な登りから山頂へ出ると、やや年長気味のソフトな声で「早かったですね!」と、彼も私を意識していたかのように声を掛けてくれる。
「福岡の方から来ました」と疑問符込みで言うと、彼は「私の住んでいる所はここから見えます」と、山頂標識の傍に立ち白口岳の山頂越しに竹田側を指さす。
九重と祖母山系をホームに、高校時代から山登りを継続しているらしく、私の登ったルートは勿論のこと色々なコースに付いて紹介してくれる。
また、季節毎の九重の魅力を熱く語りながら、人知れず隠れたスウィートスポットまで教えて頂く。

「山群逍遥」(2)_f0201348_9594476.jpg 一頻り語り合った後、お互いに足の赴くままに牧ノ戸峠まで天狗経由で同行することになる。
 いつも一人旅であるが、新鮮な同行者がいると距離は短く、気分的な癒しから疲れも無く予定通り15時半登山口に到着する。


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(何処から飛び上がったのか、鷹のように悠然と久住山頂を周遊するハングライダー)
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by 1944tourist2004jp | 2012-07-11 10:17 | 山登り


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