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「傾山とアケボノツツジ」(3)

 昨日の雨で夏野菜の水遣りは無しとしても、春ジャガの土寄せをしなければならない。ぐずつく天気に畝間の土は湿っていて最悪である。
易きに流れる私は、TVのHDを少しでも軽くしてやらねばと、日曜日に撮り溜めしておいたビデオを立て続けに見ていく。映画、囲碁、そしてお気に入りの“たかじんのどこまで言って委員会”ほか、そしてその合間にブログを綴っていくが中々捗らない。


「傾山とアケボノツツジ」(3)_f0201348_1534838.jpg 林道の鉄梯子を上がると密生林から疎生林となりヒメシャラの印象的な斜面に日脚が延び、傾山山頂に繋がる屹然とした奇異な岩峰が樹間に現れる。

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 尾根に続く踏跡はジグザグとして、それなりの登りが延々と続く。前の二人は両手を腰にあて山慣れした歩調でペースを守りながら登って行く。

「傾山とアケボノツツジ」(3)_f0201348_1503217.jpg小さな石の祠に「昭和4?年を最後に祖母山系で絶えたツキノワグマを弔う祠ですよ」とOさんが紹介してくれる。

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そして、祖母山系での遭難事故や救助に関する詳細なお話が続く。庭としているだけに山同様に隅々までよくご存知である。

「傾山とアケボノツツジ」(3)_f0201348_157222.jpg 足を止めることはあるが小休止をとること無く登り続けて行くと、かなり年配の方が路傍に腰を下ろしている。勿論、Oさんとは知己の関係にある。
神事の後に最年長登山者と最年少者の紹介があったが、彼は何と81歳とのことであった。願わくば十数年後の私に重ね合わせたいところである。が、習慣的に飲むアルコール、そして其処にあれば直ぐ口に入れる甘いもの、「心臓と脳がいつまで達者であってくれることやら」と自問する。
 前のお二人の息遣いは分からないが、私は少しずつ呼吸が浅くなってくる。しかし、大腿四頭筋や腓腹筋に違和感は全く無い。
ここでもう一つ彼のザックを紹介したいが、ご自分で繕った跡が数ヶ所あり靴同様、山行の歴史が十二分に想像できるほど擦り切れている。

そして、ニッカボッカの膝当てがものすごい。白い布がべったりと縫い付けられている。心と外見を全く取り繕うことの無い彼は、行き交う人に野太い声で挨拶しては冗談を振り撒き、疲労を癒してくれる。同行のYさんと私は、「彼の生い立ちからして、菩薩行に値する様な人生観を芽生えさせたのは何なんだろうか」との疑問が下山まで続いた。

「傾山とアケボノツツジ」(3)_f0201348_15113770.jpg  いつしか眼前の空がぱっと開け、九折越に上がって行くと苔の張り付いた広場には、既に数十人の登山者が集まっていた。神事が始まる5分前の8時55分九折越到着であった。

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 正装の神主さんが神蘺を前に祝詞をあげ榊を手向ける。
儀式は30分ほどで終わったが、その後に最年長者と最年少者の紹介と市長や警察署長の挨拶が全て完了したのは9時45分であった。

「傾山とアケボノツツジ」(3)_f0201348_15144258.jpg それにしても7歳から81歳までの老若男女とは凄い。経済大国から滑り落ちそうであるが、今なお平和と長寿を謳歌している日本である






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by 1944tourist2004jp | 2012-05-01 15:30 | 山登り


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