「傾山とアケボノツツジ」(2)

 渓間へ落ちるような斜面の腹に延びる緩い登り、隘路に木漏れ日を許さない豊かな喬木林が厳しさを和らげる。

f0201348_11151864.jpg渓流の音に全てを掻き消される中、1人の女性が容貌が野生に近い2人の男性を引き連れるように登って行く、その様は実に愉快だ。

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 Oさんは「Yさんが好きなペースで登って下さい」と言いながら、険難な所に差し掛かると、温顔にして必ず登り下りを前になり後になり足場を指示したり、補助したりと常に優しい心配りをしている。
そして、道筋にある石ころや朽木を必ず脇に退け、常に登山者の安全にも気を配っている風である。

f0201348_11201148.jpg 後ろに付けている私は当然の如く彼の足元を見る。無欲の革の登山靴は凄まじい。色は抜けバックスキンの様となり、其処彼処に裂け目があり、今にも脱げ落ちそうなほどに使い古されている。
田子の浦から富士山頂まで歩き通した、筋金入りの筋肉がそれをカバーしているのだろう。揺るぎのない肢の運びである。
 苔生した渓流と陽が透ける樹冠の新緑が何とも素晴らしく、カメラを構える時間が長くなり前の二人との距離が開く。
渓流の轟音が響く芥神ノ滝に出る。河原に手頃な場所を見つけ初めての休憩。遠目に上から覗くロケーションであるが、その水量は豊富で見事な滝である。

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渓流に注ぐ支流を二つ三つと渡渉してカンカケ谷に出て河原を溯って行く。

f0201348_11231231.jpg ゴロ石の道を縫うように登って行く時は、特に用心しなければならない。油断していると捻挫や転倒に結びつき、他人に迷惑を掛け直ぐ下山である。
山は全て自己責任と云えど、ONE for ALL、ALL for ONEのラグビーの精神である。同行している限り迷惑は掛けられない。
Oさんの息子さんは高校・大学でラグビーをやり、公務員になった今も監督兼選手でやっているらしい。
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f0201348_11244467.jpg対岸で2度目の休息、喉を潤すとYさんがチョコレート差し出してくれる。甘党の私は有難く頂く。


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渓流とも別れ、急坂に新緑の滴る中、鳥のさえずりが聞こえ初め、ヒメシャラやツガ等の大木に挟まれるようにミツバツツジも点々と顔を出して来る。

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 補助ロープもある急坂を先導するYさんは、女性ながら怯まず、また疲労の色を微塵も見せず40分弱で林道に登り着く。

f0201348_113481.jpg数台の車が留っているが、神事の為の神主さんや行政の方達だろう。

左斜に出ると少し錆びついた鉄梯子が待っている。



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by 1944tourist2004jp | 2012-05-01 11:45 | 山登り | Comments(0)
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