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「少し欲張った山登り」(1)

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 携帯電話には続編がある。

「少し欲張った山登り」(1)_f0201348_094016.jpg 雪をかぶり冷えた携帯を愛撫するようにそっと開くと、液晶に見慣れた初期画面が立ち上がった。そして、寒波到来の深夜から12時間、生きていた証に受信記録には自宅とSDの名前が延々と並んでいる。呼び出し音を頼りに探していた時の記録である。
最後は叫び声に変わっていたかも知れないと思うと、機械であれ切ないものがある。
 この記録を消去して2時間ほど放置した後、何気なく開けると画面が立ちあがらず真っ暗である。電池切れと思い充電するが全く反応無し。

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 SDが娘にメイルすると「ドライヤーで熱く成るほど乾かしたら!」との返事。駄目もとで液晶以外電池もろとも熱風を5分ほど当てる。

「少し欲張った山登り」(1)_f0201348_0121239.jpgレンズの内側には小さい水玉がくっ付いていて如何ともしがたいが、いつもの初期画面が立ちあがった。正にSDと娘の二人三脚で蘇生した私の携帯である。
ささやかではあるが、私には“はやぶさ”もどきの携帯となった。

そして、今朝は扇ケ鼻山頂からSDに「阿蘇五岳と外輪山が迫って来るように美しく見える」とやや大袈裟にメイルを入れる。

「少し欲張った山登り」(1)_f0201348_014848.jpg 寒波明けの月曜日は終日“晴れ”の予報。
昨晩は晩酌をしなかったせいか目覚めの良い朝を迎える。新聞を取りに玄関を出ると、東の空に美しい朝焼けが広がっている。
 氷瀑化した“暮雨の滝”から樹氷の大船山への山行予定で高速に乗る。しかし、日田市を過ぎると爽快な青空が広がり、深山の山並みは線を引いたように鮮やかな山稜が重なり合っている。

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 真冬の透明感ある空気に白い雪と青い空が眼裏に浮かび、先ずは“牧ノ戸峠”から入り、気分次第でピークを決めようと長者原を通り過ぎる。チェーン規制の様な看板が立っているが道路に雪は無い。陽射しもあり“no problem”とスピードを落とさず上がって行くと、大曲を過ぎるころから日陰になった所が点々と白く成り、ノーマルタイヤの私は恐る恐るハンドルを切って行く。
「少し欲張った山登り」(1)_f0201348_0171693.jpg 一面新雪に覆われた9時前の駐車場に、雪を踏み固めるようにギシギシとタイヤを軋ませながら入って行く。
手頃な混みようで、私の両隣も男性数人のグループである。
一人の登山は準備が早い。靴を履き替え簡単なストレッチを10分程度で済ませ「お先に」と挨拶して出発する。
沓掛山への簡易舗装道路は厚く積もっているので今日は最初からアイゼン装着である。
展望台からは三俣山の向こうに、望遠レンズを通して見る 今日の“由布岳” は美峰と呼ばれるに相応しく孤高にして凛としている。。

 山群全体に雲は全く無く零下の割に暖かさを感じる。
数組のグループと相前後しながら沓掛山の展望台に上がって来ると、今度は阿蘇五岳が薄い筋雲を棚引き風格と品のある姿を見せている。
こちらに来て正解であった。
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by 1944tourist2004jp | 2012-02-21 00:24 | 山登り


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