稲星山と坊ガツル分岐点に来ると、男性が一人中岳の急崖へ踏み入れかかっている。
逆周りの時にその急坂はさほどの距離で無いことは分かっている。 途中、「いやー、きついですね」と、一休みしている男性に言葉をかけ焦らず登って行くと、懸崖に架かる鉄梯子と屏風の様な岩を迂回するロープ場、ここを乗り切ると山頂は程近い。 最後の緩斜面を上がって行くと、山頂標識を間に記念写真を撮ったり、休憩したりと先客が寛いでいる。 山座同定する様な展望も無く、姿なき大船山をバックにして山頂標識を撮って直ぐに岩場を下って行く。 次々に上がって来る10数人の団体さん。声も服も賑やかであり、また華やかな男女混合パーティーである。待ち合いが無いよう登りを避けて岩場を下って行く。 鞍部から御池越しに久住の山容を見ながら天狗ヶ城へと4・5人の男性と相前後しながら登って行く。 中岳同様に数人の先客達に私の居場所も無く、また下界に焦点を合わせる眺望も無いので素通りのように下って行く。 意識はしてないが肢に疲労が蓄積しているだろうと、浮き石には存分に注意しながらガレ場の斜面を下りて行く。 久住分かれの人混みを避けて星生崎の直下で一本立て、食べ残しのお握りを小腹に、そして渇きをミカンで潤し5分間の強制休息とする。 変幻自在の環境はあっという間に辺りをホワイトアウトし、身近な人の気配は声のみとなる。 見通せない急坂を星生崎の突端まで進み、久住山の雄大な全容をカメラにと思うが中々雲の切れ間が現れない。 星生山へと瘦せ岩尾根を右や左しながら偽ピークのガレ場にやって来ると一人の女性がカメラを手に下りて来る。 挨拶の後、お互い単独登山の気安さから山談義に入る。 熊本の方で、グループの方達と脊梁を中心に方々の峰々へと足を延ばしてるらしい。 脊梁でお世話になった“Mishan”さんもご存じだった。 年金生活に入っている「旦那はとんと山に興味が無く、九重も沓掛山の舗装道路を登りきった所で腰を下ろしました」と、すっかり諦観の様子であった。 適当な休憩時間となった、これまた一期一会であった。 時間的にも下りが多くなってるのか山頂の先客は少ない。 変幻自在な蝶々雲に期待も空しく扇ヶ鼻へと向かわざるを得ない。 大曲への「ご遠慮願います」の立て札と、西千里浜の池塘を見やりながら先を急ぐ。 灌木の隘路を過ぎると左への下りと直進の道筋に分かれる。 いつも左の道を選ぶので今日は直進しようと潜って行くと、短いが断崖の様な岩場に当り、カメラをケースに収納して下りざるを得ない。 牧ノ戸峠へ下って行く人達を見送りながら今日最後の峰、扇ヶ鼻への山路へ入って行く。 山裾に湧き立つ霧は山肌を舐めて行くように山頂を隠している。 阿蘇五岳の眺望に最後の望みを託して一気に登って行くが、直近の久住山さえ油断すると姿を隠す。 「朝日が赤いのは雨」の俚諺通り、終日雲に閉ざされた九重山群であった。お蔭で6時間弱の鍛錬登山となった。 いつものように瀬の本高原で伏流水を汲んで、“パックマン”のタイトルマッチを楽しみに帰路に就く。 風呂上がり、ビールを片手に見入るビデオ。素晴らしい試合の結果はパックマンの辛勝であった。 カウンターパンチャー“マルケス”のパンチもヒットはしていたが、やはり防御とカウンターでは印象が悪過ぎる。 来年の5月にはメイフェザーとの世紀の一戦があるかも知れない。
by 1944tourist2004jp
| 2011-11-15 14:24
| 山登り
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