渓流音が小さくなるにつれ沢は狭まり両側の尾根壁が険しく迫って来る。
二段になった滝を過ぎると沢が二股々々、そして二股と分かれる。
風来坊さんは慣れた様子で、「迷い易い所です。右へ、右へそして最後は左ですと」と導いてくれる。
「ケルンがありますから注意深くゆっくり登ると大丈夫ですよ」と付け加えてくれる。
また、「OOさんと言う80歳超えの有名なご老人がよく登っていますよ」と紹介してくれる。
そして、最後の登りである。
二股に分かれているが、両方とも45度以上はありそうな急傾斜である。
風来坊さんのでっかいお尻(笑)に引っ張られ、また御老人の余話に後押しされながら、一気に峠に飛び出る。
息が上がる寸前の峠は一面ササ原ある。
大きく深呼吸をして腕時計を見ると丁度10時20分。
直ぐに最後の登りで二股になった右側の崖崩れのような岐路を見下ろす。
いつぞや、コヨーテさんが紹介してくれた急崖のコースである。
シーズンを外れた縦走路は下草が茂り、分け行く二人のズボンを濡らす。
コバノミツバツツジのトンネンルとは打って変わって、地味にして殺風景な縦走路である。
玄界灘を見渡せる展望所P944で一息ついて、霞のかかった山並に疲れを癒す。
記憶に新しい遊歩道のような道が現れて来る。
暖かい陽ざしに運ぶ足も軽く歩幅が広がる。
下りかけでの初めての出会いは私達と逆コースの夫婦連れである。
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