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「富士登山」(2)

 頂きに立った後の”ご来光”に、「めっちゃすげエーや!」と若い男の声が響く。そして、其処彼処から甲高い声で「素晴しい!」と、感嘆の声が打ち寄せる波の如く引きも切らない。

「富士登山」(2)_f0201348_20384118.jpg 私もこの神々しい陽の光に、「素晴らしい!」と呟いた後、無意識のうちに手を合わせたい気持ちになっていた。
 青く染まった雲海に浮かぶ小さな陽は、光が放射状に幾筋にも伸び、大袈裟であるが其処に神が存在かのような荘厳な光景である。作家ならもっとうまい表現をするに違いない。なぜ態々と”ご来光”と表現するのか実感できた。






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「富士登山」(2)_f0201348_2040309.jpg 偶然にも私の隣にいたシアトルからの若い女性も、黙してその陽を凝視していた。そして、陽が暫時大きくなり放射状に延びていた光線が消えてなくなるまで、山頂に動く気配が全く感じられなかった。癒しの感動に痺れて動けなかったのかも知れない。
 明るくなると現実に引き戻され、登山者は店で記念品を買い求めたり、剣が峰を背にして記念写真を撮ったりと大忙しである。私達も撮ったり撮られたりであった。

「富士登山」(2)_f0201348_20434434.jpg  そして、下山。午前5時半からスウィッチバックのような下山道をだらだらと下る。火星の写真を思わせるような砂礫の中を延々と下って行くのである。時々、小石に滑り尻餅をついている下山者や、眼下のパノラマを記憶に残したく腰を落としている人達、脚力に自信があるのか駆け足で下りて行く若者、その中で妻もスパッツの留め金に引っかかり転びそうになる。気だるそうな顔つきをした人は皆無、皆さん富士登山に大いに満足している顔である。


「富士登山」(2)_f0201348_20465135.jpg 登山口集合にパーティーは山頂解散となりそれぞれ気儘に下りて行く。私達も快晴に準備していったサングラスをかけ、思う存分に富士下山を楽しみながら軽快な足取りで下って行く。「もう一度昼間にでも登りたいな!」と、妻を振り向けば「そうね」と、満更でもない返事であった。「富士登山」(2)_f0201348_2048139.jpg



「富士登山」(2)_f0201348_20484063.jpg「富士登山」(2)_f0201348_2049943.jpg




※「富士山」(3)に行く時はこちら
by 1944tourist2004jp | 2009-05-04 13:49 | 山登り


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