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「新年最初の山登り」(3)

 熱いラーメンとコーヒーに精一杯満足して薄暗い石室から出ると、雪に反射する陽の光に眩暈し一瞬立ち止まる。積雪予報の無かった数日に、サングラスをザックに収めてはいない。
そして、余りの寒風にニット帽の上からレインウェアーのフードをすっぽりと被り、伏し目がちなスタイルで中岳ルートへ入って行く。

f0201348_10391459.jpg 天狗ヶ城との鞍部に出ると、風は一段と厳しく吹き荒び薄着の下半身が冷えてくる。
山頂に一人、そして直下の岩場に一人。距離はないので一気に山頂へと上がって行くと先客はお一人。「寒いですね!」を挨拶代わりにして、直ぐに大船山をバックに写真をお願いする。
普段は余程の事がない限り二人一緒の写真を撮って貰うことはないが、今日はWA日。
彼からも同じように山頂記念写真を頼まれる。マクロレンズ装着の彼の高価なカメラは威力十分で、液晶で確かめると見事な1枚が撮れていた。



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f0201348_10404352.jpg 坊ガツル方面から吹き上げてくる強風に、体感温度は優に-10℃を下回っているだろう。5分程度の山頂ながら、寒さに我慢しきれずそそくさと彼を置いて下って行く。

f0201348_10412418.jpg 今日はピークハントでなく山群逍遥、このまま下山路へと進んでいく。
青空の下、真っ白な湖面に色鮮やかな山ガールや山ボーイの登山スタイルは見事にマッチしているし、凍てついた湖面を楽しむかのように5・60歳台の男性が数人、童心にかえり戯れている。別世界である。
湖面凍結に感激一頻りの女性が二人。天草から来られたと言う彼女達に写真を撮って貰い久住分れへと下りて行く。

f0201348_1042283.jpg 西千里浜辺りに来ると所々で山路は泥濘となって、樹冠に積もっていた雪や枝葉の着氷は完全に消え往路とは全く違う景色となっている。
予定通り15時牧ノ戸峠の駐車場に下り、筌の口温泉へと冷えた身体を温めに行く。



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by 1944tourist2004jp | 2013-01-11 10:44 | 山登り | Comments(2)

「新年最初の山登り」(2)

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 緩いペースに樹氷や霜柱を楽しみながらの尾根道。SDは距離が延びるほどに体がほぐれて、1枚2枚と着ぶくれから細身へと変身していくが、今日の冷え込みはいつまでもビア樽のような容姿を山あいに和ませている。

f0201348_213742.jpg 西千里浜までに僅か二人の下山者と会う程度に深閑とした山群に、突然星生山への稜線から声がこだましてくる。目を凝らすと無機質な中に微妙な色合をした二人の影、「この冷風をまともに受けて久住分れへの岩の隘路は大変だろうな・・・」と、飛ぶように流れる雲に按ずる。

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しかし、冬の厚い雲に居場所を閉ざされていた陽も、透明感のある冷気の中に少しずつ輝きを増し、深山に白い山肌と澄んだ青空の佳景が増幅されて行く。
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付かず離れずの距離を置いて、私は遠景を楽しみ、SDは樹氷から覗く花芽や足元の自然を楽しむ。f0201348_2146396.jpg



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西千里浜からは盟主を眼前にしながら休憩の二文字を忘れたかの如く、平坦な山路を淡々と歩く。

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朝6時半の朝食に若干の空腹を感じるが、ラーメンとお握りを準備したお昼を中岳直下の石室でとりたいと、飴とカロリーメイトを口にしながらゴロ石の登りに就く。

f0201348_21505013.jpg先月は全面が凍てつくはざ間にあり、細やかな“御神渡り”も拝んだが、今日は湖面全体が固く凍てついている。

f0201348_2225827.jpg SDを御池に置いてきぼりにして、私は昼の準備のため一足先に石室へと急ぐ、薄暗い石室へ入ると、二人の男性がカップラーメンを啜っている最中であった。
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お湯を沸かす準備をしながら、一巡りほど違う二人との共通話題は如何ほどかと挨拶がてらに話し掛けると、休みを利用して筑豊から来たとのことであった。
山談義の中で、昨冬行った英彦山の氷瀑“四王寺の滝”について訊ねると、「昨年、新聞やTVで紹介されたせいで、登山者がどっと押し寄せ道迷い等の事故もあって、今年は経験者同伴以外は受け付けないということで、案内板も赤テープも取り外しています」と紹介してくれた。
 「冬山の昼はラーメンに限る」と、数時間後に必ず喉元まで上がり嫌な思いをすると分かりながら、ズズズッと汁まで啜る。




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by 1944tourist2004jp | 2013-01-10 22:07 | 山登り | Comments(2)

「新年最初の山登り」(1)

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 9日は終日晴れの予報、TVの前に陣取り飲み続けた8日間、筋力の衰えを取り戻すべく山の予定を入れる。古希を迎える老骨と自重し、また錦秋の大船山以来となるSDの体力も慮らねばならない。
しかし、冬山も実感したい。凡庸な山歴しかない私が思いつく山群逍遥といえば、3ヶ月連続の入山となるが九重山群しかない。

f0201348_1912620.jpg 九重ICから鄙地を長者原へと上がって行くと、牧草地の遥か彼方に稜線の美しい涌蓋山を見ながら、正面には冠雪の三股山と硫黄山が迫って来る。ところが、今朝はいずれも厚い雲に閉ざされ雄姿はなく、長者原には2・3台、大曲は0、牧ノ戸峠に10数台と、こちらも想定外の閑寂さである。


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 登山口により近い枠に車を入れて、登山靴に履き替えていると、突然に大柄な男性が「玖珠警察署のものですが、ご存知のように山での遭難が続いていますので、万全の注意をして頂くようビラを配っています」と近付いてくる。今日の予定や九重山群との付き合いを話していると、数人のTVクルーがやって来て二人にカメラを向ける。

f0201348_1919101.jpg“37thWA”日の山登りに、まさかの取材対象となってしまった。平成11年、英彦山での“守静坊の枝垂れ桜”以来のTVであった。
TVカメラを背後に感じながら、沓掛山への登りにゆっくりと歩を進めて行く。





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f0201348_1923543.jpg 一昨年は丈母、そして昨年は実母と、喪により2年連続しておめでたい元旦を迎えることはできなかったが、SDは例年と変わらず年末から“おせち料理”を滞りなく済ませる。
私は12月の山登りで知った玖珠の地鶏の味が忘れられず、「今年は魚の代わりに鶏三昧でいこう」と、元旦に合わせてクール便で“竹やぶ”から送って貰う。我が家も5人家族がいつしか10人家族となり、来年は11人となる。
気分良くたらふくと食べ、たらふくと飲んで、動いたのは神社詣でと収穫の為に行った菜園だけ。しかし、不思議と体重は微動だにしない。

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 「年齢のわりに筋肉量が多く基礎代謝量が大きいのかも知れない」と、勝手に自己満足し、凍った道を引っ掻くアイゼンの金属音を聞きながら整備された斜面を軽快に登って行く。


f0201348_19275677.jpg 今朝の遠望はかなりの貧弱さで、いつも出迎えてくれるように眺望する由布岳と阿蘇五岳は無く、近傍に位置する涌蓋山や三股山の影すら拝むことすらできない。

 阿蘇五岳を眺る展望台に来ると、中心にある山群案内のコンクリート製の表示板が鉄筋を剥き出しにして倒れている。暴風では倒されない造り、蛮勇より劣化と信じたい。



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 行灯のように薄ぼんやりと佇んでいる陽が、気まぐれに顔を出した時に光輝く霧氷化した路傍の木々や星生山への山肌は実に美しい。

f0201348_19284978.jpg寒波の襲来した先月中旬は新雪を“ぎしっぎしっ”と踏みしめて歩いたが、陽の無い山路は“がちがち”に凍てつき路面の凸凹が足裏に直に伝わってくる。二人とも数回に渡り経験している泥濘に「帰りは大変だろな!」以心伝心で歩く。


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by 1944tourist2004jp | 2013-01-10 19:30 | 山登り | Comments(0)