平坦な人生を望んでも、神は万人に想定外の山あり谷ありの一生を準備している。
山も然り。事故に繋がるようなことは決して起こって欲しくないが、予想外の事態が必ず待っている。 嬉しい一期一会だったり、思わぬ山野草の花に出遭ったり、また雄大な景色だったりと期待以上の機会に恵まれることもあれば、期待に反して変化の無い鍛錬登山に終わることもある。 限られた時間での山登りといえば、私にとっては宝満山である。今日はどのルートにするか。 お気に入りコースであり、初夏向きといえば渓流の提谷コースしかない。 65号線から萌黄色にパッチワークされた山肌の鄙路へと入って行き、登山口から20mほどの駐車可能な路肩に先客に並ぶように留める。 春霞なのか黄砂なのか分からないが、好天にしては清澄感が全く無い。 簡易舗装の道路を準備運動がてらゆっくりとした歩調で登って行くと、昨年と様相が全く違う。岳麓寺コースに似た雰囲気の登山口の筈が、切り払われた樹林の中に無味乾燥な瓦礫が敷き詰められた広い道が通り、驚いたことに提谷コースへの進入が禁止になっている。 その警告文が「民地につき、不法侵入として写真を撮り所轄へ通報します」と、一瞬立ち尽すようにえげつない立看板。 おまけに、→と伴に書かれた“シラハゲ登山道”の看板に、腹立たしさを仕舞い込むこができず、ペースを忘れて“シラハケ道コース”へと踏み入れて行く。 規模は大きくないが、大小の渓流滝が連続する谷あいの土地柄を如何様に利用するのか分からない。山間ながら下には田園があるので水を独占利用することはできない。産廃を廃棄するにも地形上中々難しい。砂利採取なのだろうか。 額を伝う汗と伴にいつしか気分も和らぎ、渓流を春の芽吹きに切り替え、新緑を写真に収めながら変化に乏しい山路を急ぐ。 百日絶食記念碑から紅葉谷コースへと苔生すゴロ石のルートへと入って行くと、高木のもみじが陽に透けて美しい季節感を醸しだしている。 順路に沿って尾根コースと紅葉谷コースの分岐点を通り“普池の窟“に入る。窟の中で手を合わせ先を急ぐ。 前回は仏頂山からの縦走路に出たので今回は宝満山へと、うさぎ道との分岐点にでる。 稚児落としの懸崖を見ながら山頂へと鎖を頼って上がって行く。社前の石段は老人ホームの集いに似て、私と同じ前・後期高齢者で賑わっている。幸せな光景である。 分け入って祠に手を合わせ、博多湾を見下ろす岩頭で冷えたパインとバナナで腹ごしらえをしてキャンプ場へと下って行く。 7・8人の男性がログハウスの防腐塗装をしている。同じような年齢に心易く話し掛けると、今の作業を「西鉄山友会が竈神社に寄贈した後、ボランティアーで管理補修しているんですよ」と手を休めることなく紹介してくれる。 「提谷コースに入れなくなっていますね!」と問いかけると、やはり皆さん方も私同様この山で一番のお気に入りルートであったらしく、至極残念な面持ちで暫し会話が飛び交う。行政にお願いしているが民有地という事でどうにもならないらしい。 民有地の上部が分かれば尾根越えの渓流ルートも開けると思うが、世話している彼れもご存知ないようである。 慰労の挨拶をして、水場の脇を登り抜け“普池の窟“の上部の分岐点に出る。窟に近づくと読経の声が岩に反響するように野太く聞こえて来る。一心不乱に経を唱えている白装束の男性に気付かれまいと、留ること無く離れる。 下りは紅葉谷コースとの分岐点から落葉の喬木林に赤テープを頼りに尾根道を下りて行く。 「昨年、提谷コースを歩いた時の写真」
by 1944tourist2004jp
| 2012-05-10 10:41
| 山登り
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