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「傾山とアケボノツツジ」(5)

 ガレージの上でやっと咲いたスズラン。手入れの少し悪い鉢植えで、今年は花芽が何となく小さく感じる。

「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_2137819.jpg一方、昨年孫達の口に入った鉢植えのサクランボは十数粒実っている。熟れ頃に孫達が来るので、今年も彼ら笑顔と伴に消えることだろう。

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 昼下がり「夏野菜の苗は如何に」と畑に行ってみると、畦間には黄色や白と花畑になっている。
苗の方は防虫ネットのお蔭で雨による土跳ね等での傷みは全く無い。朝のスープに入れてくれるだろうスナックエンドウとキヌサヤを少しばかり収穫して帰る。


「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_150512.jpg 私達が待っている所へやって来たOさん、二言三言と交わしながら弁当を開く。Oさんに促されるように、遅まきながら私自信を少し紹介する。















(山頂から坊主尾根コースを見る)
 取材ヘリコプターも去り、登山者が三々五々と下山して行く中、私達も予定通りに坊主尾根コースへと山頂を後にする。

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ガレ場を下り五葉塚に来て深呼吸しながら深山と幽谷を一望にする。


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 其処から間もなくして水場コースとの分岐点に出て、私達は下りだが健脚コースの三ッ坊主へと最初の登りに就く。三ツ尾経由で登って来た方々は倒れんばかりに肩で息をしながら、Oさんに「あとどのくらいでしょうか」と訊ねてくる。その度に大きな声で「もう少しですよ」と、5割引程度の時間で励ます。

「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_18304795.jpgここから岩峰をすり抜けるように、梯子や補助ロープを利用しながら幾度かのアップダウンに汗を掻く。

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「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_18345239.jpg 狭い岩峰の溝のような所に来ると、急崖に垣間見える祖母山に発する本谷山から笠松山へと山稜が広がり、その偉観と路傍に点々と咲くアケボノツツジに疲れを忘れる。

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そして、東側は身の毛もよだつような峻険な崖、一方西側の緩い斜面には喬木の疎林が広がる。このような繰り返しだが決して飽きることは無い。

「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_18374358.jpg 途中、倒木に腰を落として休憩する以外は、3人共淡々として疲れを見せることも無く歩調は順調である。
中でもYさんの下りは後ろの二人を必ずと言ってよいほどに引き離す。

「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_18412247.jpg その間、Oさんの冗談は途切れることはない。そして、時には山での色んな知恵を語ってくれる。
食用にできる葉と毒性のある葉の見分け方や赤松の外皮と幹の間の肉は緊急食料としてOKだとか、30cmほどの猿の腰掛を見つけると制癌剤としての利用の仕方をこと細かに紹介してくれる。

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 いつしかタフな三ッ坊主を抜け、水場コースとの合流点に出ると後は下り一本となる。腐葉土が幾重にも積もったような弾む道に、前の二人は北アルプスの山行などを語り合いながらペースが上がっていく。

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 林道まで下って来ると既に5時半を回っていた。しかし、立夏を間近にすると流石に明るい。林道を最終の休憩として、甘夏とジュースのお裾分けを頂き恐縮を重ねるながら、その冷たい酸味に身体の安らぎを覚える。

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10分程度腰を下ろした後、山路に入って直ぐに“落下注意” の看板を横に見ながら観音滝の口に当る渓流を渡渉する。

「傾山とアケボノツツジ」(5)_f0201348_1911939.jpg昨年、宝満山の渓流で苔に滑り半身水浸しとなりカメラを修理不能にした経験を踏めば、若干なりともリスクを避ける歩調とならざるを得ない。
 斜面を上り詰めてその腹を歩いて行くと、樹間に白い筋を引く観音滝を遠望する。直瀑の芥神ノ滝に比べやや傾斜のある渓流滝かも知れない。

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 陽が届かず薄暮前の道を20分ほど下って行くと鉱山跡の駐車場に出る。お二人にお礼の握手をさせて頂き、ライトを付けて鄙路を帰路に就く。
by 1944tourist2004jp | 2012-05-02 19:02 | 山登り


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