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「イタリア紀行20」(アルベロベッロ1)

「イタリア紀行20」(アルベロベッロ1)_f0201348_7192088.jpg 大地震の続報が流れる中、災害状況が落ち着いたところでブログを書き始める。
私のブログとは関係ない事かも知れないが、被災者の方々のことを考えると旅の喜びや楽しさを表現することに若干憚られる。

 アルベロベッロに近づくにつれ、大地が息を吹き返すかのように青々とした草原を取り戻す。

 被害が広がるにつれTVに釘付けになったり、キーボードを叩いたりと気忙しく遅々として捗らない。
徐々に地震の災害状況が画面に流れて来る。

 町が近いことを予感させるように、石積みで区切られた畑は段々と狭くなり。手入れの行き届かないトゥルッリ(部屋一つ屋根一つの石積みの家)が散見されてくる。

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 今日は先ずホテルに入って荷物を整理した後での観光となる。(散策後の写真)
ロビーに下りて行くと、控えていた地元ガイドの陽子さんのアルベロベッロの概略紹介に始まり、1km程離れたトゥルッリ集落へと案内して頂く。
 陽子さんを先頭に34人の日本人が狭い歩道に長い列となりぞろぞろついて行く。
そして、無線ガイドからトゥルッリの歴史が流れて来る。
                                            (翌朝車に積もっていた細雪の痕)
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「イタリア紀行20」(アルベロベッロ1)_f0201348_7343457.jpg 10cm掘れば石にあたる土地柄を利用して、石積みのトゥルッリが生まれたらしいこと。
先ず石を熱して割り、板状の物は屋根に利用し、角状の物は壁とし、屑になった石を漆喰として造り上げるらしい。

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また、貴重な雨は屋根を伝って地下に溜められ、オーバーフローした水は路地の中央に設けられた窪みを利用して溜められるらしい。
気候環境と土地柄がもたらした住宅で、正に生きるための生活の知恵がふんだんに盛り込まれ、構造は簡素ながら冬暖かく夏は涼しい住宅を造り上げたのだろう。
姿や形は全く違うが、白川郷の合掌造りと相通じるものを感じる。


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「イタリア紀行20」(アルベロベッロ1)_f0201348_7372059.jpg そして、数個のトゥルッリが合体して一戸の住宅となり、経済上の理由から壁は隣と共有になっているらしい。
 面白い話として、16世紀に入植したスペイン人が固定資産税を逃れるために、役人が廻って来た時に屋根を取っ払っていたこともあるらしい。
 等々の話の最後に、「こちらではリビアの内政問題と避難民が話題のトップですが、日本ではNZ大地震が大ニュースとなっているのを御存じですか」との問いかけに一同驚きの声。

偶然にも「東北地方太平洋沖大地震」のあったこの日にアルベロベッロのブログを書くことになってしまった。
そして、時間を経るにつれ被害の甚大さを実感する。
TVを通して、大型船や乗用車が玩具のように波間に見え隠れ流される様は地獄に近い怖さを感じる。

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 先ず市庁舎前のポポロ広場へ歩を進め教会のテラスに出ると、4百戸ほどのトゥルッリの集落アイア・ピッコラ地区と端然とした千戸以上のリオーネ・モンティ集落が一望出来る。

「イタリア紀行20」(アルベロベッロ1)_f0201348_7425971.jpg 薄日に浮かぶ白壁と灰色のとんがり屋根の町並みは、まるでおとぎの国に来ている雰囲気がある。
 細い路地を入ってアイア・ピッコラ地区へ入って間もなく、突然家陰から少年が出て来て簡易テーブルにイチジクを並べる。誰も買わずに通り過ぎると、また何も無かったようにさっと家の中に片付けてしまい、暫く歩いているとその少年が自転車に乗って町の方へ追い抜いて行った。
決して貧しそうになく、そのあっけらかんとした様にイタリア人気質の一端を見る思いである。


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by 1944tourist2004jp | 2011-03-12 06:39 | その他


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