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碧空に浮かぶ連山の山頂を二人で確かめながら、そして湿原のカヤに隠されながら坊ガツルを横切って行く。
寒い早朝に開くのを惜しんでいたリンドウもお見送りである。
大船林道との分岐点で「望外の大船山」に別れを告げて、陽の閉ざされた植樹林の中へと帰路に就く。
暮雨ノ滝まで格別に見る当ても無く、ウーキング並みの速足下山である。
「多彩な紅葉と落葉が織りなす美林を後世へと保存していかなければ」と実感させる今回の山登りであった。
世の中にあまり貢献していない人間としては、ちと恥ずかしき感想である。
ミヤコザサの中、暮雨ノ滝への分岐点を沢の方へ下って行く。
本によると往復10分とあった。
確かに短い距離であるが後半は泥濘の急坂で倒木やササにやっと助けられながら下りて行く。
一人の男性が三脚を立て写真を撮っている。
挨拶すると、その第一声が「凄い悪路ですね!」である。
彼の上がって行く姿を見ていると登りもかなり悪戦苦闘している。
高くは無いが4列に並んだ滝は、僅かに覗く青空に苔生す岩と紅葉に挟まれ色合が格別に素晴らしい。撮影に忘我し、苔岩に滑り向う脛を打つがカメラはさっと挙げ無事だった。
色んな所で滝を撮って来たが、素晴らしい出来栄えを祈るばかりである。
下湯沢の急坂を下り駐車場になっている路肩に着いたのは4時過ぎである。
飯田高原を縦走して、一路九重ICへと下って行く。
「望外の大船山」(1)から見る時はこちら