「雨の1日」

f0201348_012221.jpg 薄暗い日中に、断続的に降る雨は私の気分を萎えさせ、能動的意志を消し去っている。
 妻が「畑に行ってみようか?」と声を掛ける。
 2日間放置している畑には過熟や野鳥に狙われている夏野菜が待っている筈である。
「トマ」トは袋を被せていたので何事も無かったが、「キュウリ」は案じていたように2本が畝間に無残にも食い散らかされている。いつものことである。
収穫には両手を使うので傘が役に立たない。
「キュウリ」、「ズッキーニ」、「アイコトマト」、「ナス」、「ピーマン」をそそくさと収穫して、足早に車に乗り込む。
 囲碁将棋番組を見た後、娘が父の日に持って来てくれた「わたしのなかのあなた」を片手にソファーに寝っ転がる。
 知らぬ間に1950年代から60年代にかけて流行した軽音楽が流れている。
ペリー・コモ、ブラザーズ・フォー、ドリス・デイ、ペギー・マーチetc.のCDセットである。
 中学から高校にかけ、真似ごとで英語の歌詞を必死で覚えていた曲である。
軽快ながらも、今日の空のようにかったるさと遣る瀬無さが部屋に響く。
殆ど聞き覚えがあり、本に目を落としながら自然にハモったり歌詞が口から洩れる。
f0201348_035839.jpg 社会問題を題材とした堅苦しい小説かと思っていたが、先に進むにつれ、目は冴え放り出せなくなって来る。
 サラとアナの共有する正反対の意志が交差しながら、親子が法廷で袋小路のような答えの無いテーマに向かって行く。
 審理が始まる頃からは、読み耽りながら並行して結末を想像したくなってくる。
幾つかの選択肢があるが、どれが公正で正義なのか、そして自分が望んでいるのか判らない。
 夏至が過ぎて間もなく、日は長いが曇天の空は早目の晩酌へと急かせる。
 「鳴門昆布」をまとめ買いして瓶に小分けしているので、昆布好きの私は酒肴が無い時は食器棚に向かう。
畑のように、もしかしたら料理と私の口で半々に分け合っているかも知れない。
f0201348_1555525.jpg 「ケイトの急性前骨髄球性白血病と言う暴走列車を無事車庫に入れるべく、両親はさながら線路の切り替えをギリギリでクリヤーしながらも最終的には腎臓移植を迫られている。しかし、そのドナーは適合遺伝子で生まれた3歳下の妹アナである」。
 摘まんだ「焼きナス」が皿にすとんと落ち、醤油が2・3滴飛び散り本を汚す。
 私の想像を越える展開と結末であった。
DVDで出ているらしいが、「ダビンチ・コード」や「沈まぬ太陽」でその落差を知っているので躊躇する。
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by 1944tourist2004jp | 2010-06-26 23:57 | その他 | Comments(4)
Commented by bamboo at 2010-06-28 14:26 x
きのこの画像、嬉しく頂戴いたしました。
ありがとうございます<(_ _)>

>DVDで出ているらしいが、「ダビンチ・コード」や「沈まぬ太陽」でその落差を知っているので躊躇する
「私の中のあなた」を読了されたのですね。私は忙しくて読む時間が取れずに、とうとう返却日が来てしまい、途中で返さねばなりませんでした・・・。「ダビンチ・コード」、原作が楽しく読めたので映画は敢えて観ませんでしたよ。原作と映画は別物とやっと割り切れるように最近なりましたが、結末が違うというのは、私も納得いきませんね。
Commented by 1944tourist2004jp at 2010-06-28 16:16
こんにちは、
 小説家と云うのは、とんでもない「展開」と「おち」を用意しているもんですね。
今更ながら驚きました。
 躊躇しながらも最終的にDVDに手を伸ばし、また落胆するのかも知れません。
Commented by desire_san at 2010-06-30 08:34
こんにちは。時々訪問させていただいています。九千部岳の写真はみずみずしく気持ちが良い写真でしたね。今回の記事はいろいろ考えさせられました。
関係した方の話では、「沈まぬ太陽」も小説と実際の話の落差はかなりあるようです。
私はブログに北海道の大雪山からトムラウシ山への縦走コースの写真を載せましたので見ていただけると嬉しいです。
http://desireart.exblog.jp/10893227/
よろしかったらブログにコメントをお願いします。
Commented by 1944tourist2004jp at 2010-06-30 17:48
こんにちは、
 いつも素晴らしい写真拝見しています。
美術館に行くことはありますが、貴方が紹介されている内容は難しいので眺めるだけにしています。
 学生時代にワンゲルに2年ほど在籍して、旭岳からトムラウシへと縦走した遠い過去もありますので、是非見せて頂きます。


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