夫婦で栽培した野菜が食卓に並んだとき、市販の物と少しでも味に違いがないかと三感を研ぎ澄まして口に頬張るが、残念ながらいつもの妻の味と何等変わらない。
鈍感なせいか、もしくは妻の料理が美味しいのかいずれかだろう。
しかし、畝作りに始まった栽培の思い出の一つ一つが生活の調和をこの上なく醸し出しているように感じる。
また、僅かながらでもお裾分けすることができた。
これ等のささやかな積み重ねが家庭菜園の楽しさと評価している。
世の常にもれず、加齢に伴い夫婦間の浸透圧が妻側に移って、不承々々補助要員として、一昨年の2月に妻の友人の休耕田を借りて畝作りを始めた。
初めはほんの夫婦団欒の積りが、ジャガイモ、紫蘇、韮、きゅうり、茄子、オクラ、ピーマン、黒枝豆、落花生と初心者としては多種に及び、収穫もまずまずだった様に思う。
勿論、筋肉痛が一段と気になるような収穫皆無に近いスィートコーンやトマトの失敗作もあった。
その後、播種と苗で冬野菜に取り組んだが、中々難しく全てが順調に育たなかった。
しかしである、熱燗と鍋物で面白おかしく冬を越せた。
そして、次の年はまず栽培計画を立てることから始め、最終的には40坪程度に広げる準備をした。